2009/08/08 11:18

何年か前だったか、その日は、じめじめとした6月で、シトシトと雨が降っていた。
通勤で使うこの田舎道には車がさほど来ない小さな交差点があって、その日は、そこで野良犬が3匹、竹やぶ前でウロウロしていた。

普段なら気にも留めないのだが、
犬は行ったりきたり、特にラブラトールリトリバーはただ一点を見つめている様子はちょっと興味をそそられる。交差点を右折する私は、車が来ないことをいいことに、様子を見ながら右折を始めた。

犬を轢かないように犬の脇を徐行する。
小型犬2匹はせわしそうにウロウロしているが、ラブラトールはただ一点を見つめていた。
その視線と同じ位置にたった時、ラブラトールが見つめているそれが見えた。
ラブラトールが見ているその先には、竹やぶの中で横たわっている別の犬がいた。

弱っているのか死んでいるのか分からない。
ラブラトールはただじーっと見つめているだけだ。
車は右折を終え直進し始めた時、バックミラーで見たラブラトールの横顔は物悲しそうだった。
何を思っていたのだろう。

バックミラー越しに見えるその風景は変わることなく次第に小さくなっていく。
何かできたろうかと思いながら、車を走らせた。
いい人ぶって、そう思うだけで実は何もできないのだ。

その日は雨が降っていた。